仕立屋さん修行時代、29歳頃、呉服屋先代女将にお勉強の為と誘われ、問屋“菱一”主催の結城紬の産地ツアーに参加した。
結城紬といえば、紬を代表する伝統工芸品。
糸紡ぎ、絣くくり、居坐機、湯通し、、、など見学した後、資料館に飾ってあった結城問屋の女将さんが着ていた結城縮に目がとまった。
結城といえば、唯一無二の風合いをもつ、憧れの紬。着倒すほど柔らかな風合いとなり、着物通が行きつく先は結城と云われている。
今、織り上がったばかりの紬が並ぶ展示会場に、資料館にあったアノ結城縮が復刻版として展示されていた。纏たい衝動に駆られた。
いつかは結城!と思っていたけど、着倒した後の風合いは、直には手に入らない、今でしょ!そして清水の舞台から飛び降りることに、、。
その後、間もなく呉服屋を女将さんから引き継ぐことになった。
取引先であった問屋菱一の部長さんに、結城縮を即決した子と印象に残っておられたお陰か、定年退職なさるまで本当によくしていただいた。
初めは、単衣で縮の風合いを愉しみ、洗張りし今は裏を付け、袷に仕立て替え、冬にも着ている。まさに真綿を纏った着心地、いつまでも触っていたくなる。
数年後、無地の結城も誂えた。
無地は、織の帯も調和するので、花嫁衣装にもお奨めしたい。
結城紬、また着たくなった。
※無地・柄のない単色の着物