江戸川橋に店を構えていた頃、近所に幼稚園があり、園児が母親に手を引かれ帰り道、ウィンドウの着物を見て「ママ、キレイね!」と指差しする光景があった。
まだ子どもがいなかった私は、小さい子でも着物の良さがわかるのね!と嬉しくなった。
3歳のお祝い着のお支度でも、髪を結い帯を結び、仕上げに紅を差すと淑やかな表情になる。
美しいものを見たり着たりする事は、年齢に関係なく心に潤いを与える不可欠なもの。
不要不急、自粛が及ぼす精神的なダメージは、直ちに影響はないかもしれないけどジワジワと枯渇していくの感じる。
今こそ、日常にアートや好きなものに触れ、セルフメンテナンスする。
茶の湯や着物には、その要素が詰まっていることは間違いない。
スタイリスト科で洋服の勉強していた頃、先輩が教えてくれた。
絵でも何でも、解らなくても、本物を見ること。
息子の通っていた幼稚園には遊具がなかった。
そのかわり、自然ゆたかな園庭が子どもたちの居場所、おもちゃは必要なかった。
運動会の時も外にピアノを運んで歌うという徹底ぶりだった。
しかし、子どもたちの自立が年々遅れていると園長先生は危惧していた。
今は、何でも気軽にそれ風の物が溢れているので、意識しないとホンモノにありつけない世の中。日本文化も然り。
親子和文化サロンでは、子どもたちと昔から伝えられてきた事を一緒に体験し、共に成長していき、ゆくゆくは新たな文化を創造していければと思う。